舞台から見上げると、なんと霧が降っています。

昭和音楽大学 霧吹き装置

なぜ、舞台に霧を降らすのでしょうか?まさか、霧の演出?!

「正解です!!」

いえいえ、もちろんそんなことはありません。

舞台というのは、とても乾燥するところです。
現代の劇場であっても、板張りの舞台床を代表として、
舞台には「木」がたくさん使われています。
また、舞台裏というと木製のパネルを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、
どんなに凝った重厚な舞台装置ものであっても、
本当にほとんどが「木」で製作されている場合が多いのです。

そして「仕込み」と呼ばれる舞台設営作業において、
現場で舞台装置の寸法を合わせるために、木の細かい粉がたくさん出ます。
とても細かい粉ですから、いくら掃除しても全てをとることはできません。

木製の舞台に日常では目にすることのないようなまばゆい照明が当たり
木は熱せられ乾燥し、周囲の水分を吸収します。
乾燥したところに、木の粉が舞い上がります。

ここまで書いてきてわたしの喉も、
かなりいがらっぽくなってきました・・・。

ましてや、ここは、オペラを目的とした劇場です。
歌手の喉に、ホコリと乾燥は大敵です!
これが「オペラ」ではなく、「演劇」であっても、事情は変わりません。
微妙な感情のニュアンスをセリフで表現するために、
どの俳優さんも本当に喉を大切にされています。

多くの劇場でも、舞台上演直前まで、
100円ショップ等でもおなじみの霧吹き器で、
舞台担当スタッフが舞台にシューシューと霧を吹き、
少しでも乾燥とホコリを軽減しようと努力しておられます。

ですが、この「テアトロ ジーリオ ショウワ」では、
常設の霧吹き装置が、役者のみなさんの喉を守っているのです。

昭和音楽大学 霧吹き装置

私も霧吹きした後の舞台に立つことができましたが、
その乾燥の度合いは霧吹き前後で全く異なりました。
私自身リラックス効果さえ感じてしまいました。

実際に、本番前の役者さんは喉に対してとてもセンシティブになられます。
公演期間が後半になるにつれ体力も喉も消耗し、
その不安は計り知れないほどになっていきます。
そんな不安を抱えながら、開演前の舞台に立って、少し見上げると・・・、

昭和音楽大学 霧吹き装置

「ああ、わたしのこの喉は守られているんだな」と降る霧に感じ入り、
精神的に安定し、リラックスした状態で開演を迎えられるそうです。
そしてこの霧吹き装置が備えられている劇場に対して、
「ここは役者思いのいい劇場だな」と思っていただけるとのことでした。

「劇場に潤いを。」

「潤い」のイメージは「優しさ」に通じています。
出演者の最大限の力を引き出すための、
舞台を支えるみなさまの「優しさ」に心温まるとともに、
常に最大限の力を出し切らなければならないという、
舞台芸術の厳しさを感じ、頭が下がる思いでした。

次回もこのように舞台裏の特殊設備についてご紹介していきます。
では、また次回、お会いしましょう。

※写真をご提供いただいた昭和音楽大学及び関係者のみなさま本当にありがとうございました。

◆◆◆ SSCへの各種ご相談・お問合せは、こちらからお願いいたします ◆◆◆

 お問合せ